掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症とは、掌や足の裏に膿疱(内部に膿が溜まった水膨れ)が繰り返しできる病気の事です。
通常、膿は細菌感染等によって生じるものですが、この病気の膿疱は感染によって生じるものではありません。
明確な発症メカニズムは解明されていませんが、この病気は扁桃腺、副鼻腔炎、虫歯、歯周病などの体の一部で感染が生じることや、金属アレルギー、喫煙などが発症と関連していると指摘されています。
発症すると、最初に小さな水疱を生じ、次第に膿疱に変化、しばらくすると乾いてかさぶたになって剥がれ落ちます。
この現象を次々と繰り返します。重症なケースでは、手のひらや足の裏の皮膚が厚くなってひび割れを起こすために痛みを伴うようになります。また、約1~3割のケースで前胸部を始めとする関節が腫れたり、痛んだりする症状が見られるのも特徴の一つです
。
西洋医学の治療は、まず原因と考えられる感染部位の治療を行ったり、アレルギーを引き起こす金属を避ける事や禁煙などの生活習慣の改善をすることが重要です。症状を抑える為には、ステロイドの塗り薬や、内服治療、光線療法などを行います。
なお、重症例では近年、生物学の製剤を使用することができるようになりました。
掌蹠膿疱症の中医学の認識と弁証論治
掌蹠膿疱症は中医学では「湧泉疽」「掌心疽」と呼びます。その発病機序は「本虚標実」であります。
本虚とは「気血不足」のことです。標実とは水疱や膿疱などの症状の事です。
気血不足によって外邪(湿熱・毒邪など)が侵入しやすくなります。
しかも、侵入されたら気血不足のため、毒邪を駆除することができません。すると湿熱や毒邪は皮膚に停滞してしまって、掌蹠膿疱になります。
東洋一心堂漢方薬局での弁証論治
【湿熱蘊結】
■ 症状
両手掌、足底に水疱、膿疱を生じる。局所が赤く腫れる。疼痛、便秘、小便黄、口苦。
■ 治法
清熱除湿、凉血解毒
■ 処方
草薢滲湿湯加二妙散加減
(草薢、黄柏、茯苓皮、ヨクイニン、沢瀉、牡丹皮、滑石、通草、蒼朮、蒲公英、冬瓜皮、馬歯莧、苦参、白鮮皮、車前子、菌陳藁など)
【湿毒壅滞】
■ 症状
深在性膿疱、自覚症状がはっきりしない、あるいは疼痛がある。
■ 治法
除湿解毒、活血化瘀
■ 処方
五苓散加減
(白朮、桂枝、茯苓、猪苓、沢瀉、ヨクイニン、蒼朮、敗醤草、連翹、大青葉、赤芍、丹参など)
【気血両虚】
■ 症状
繰り返し再発、疲れやすい、顔色萎黄、眩暈などを伴う。
■ 治法
補気養血
■ 処方
十全大補湯加減
(人参、茯苓、白朮、当帰、川芎、熟地黄、赤芍、甘草、黄耆、桂皮、馬歯莧、丹参、黄柏、ヨクイニンなど)